ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
みみが聞こえにくい…難聴とは?(放送内容 資料はこちら)
音が聞こえる仕組みについて、まずは耳の構造を説明します。
耳は外耳、中耳、内耳から出来ています。外耳は耳介、外耳道、中耳は鼓膜、耳小骨、乳突洞、耳管、内耳は蝸牛と前庭半規管から成ります。外耳と中耳は空洞で、鼓膜で仕切られていますが、内耳は骨の中に埋まった臓器です。さらに、内耳から脳幹へ刺激を伝える神経が伸びています。
音は空気の振動ですので、耳の穴の奥にある鼓膜を揺らすと、鼓膜に付着した耳小骨に振動が伝わり、増幅させながら内耳の入り口に振動が到達します。さらに内耳の内部にあるリンパ液が揺れると、蝸牛の中にある神経細胞を介して振動が電気信号に変換されます。いくつかの神経を経由して電気信号が脳へ伝わり、音として認識されます。
難聴とは聞こえにくいことですが、程度や種類がたくさんあります。異常が生じた部位が外耳や中耳のときは伝音難聴、内耳のときは感音難聴と言います。健康診断ではおよそ30デシベルの音が聞こえれば正常です。精密な聴力検査では、平均して25から39が軽度、40から69が中等度、70から89が高度、90以上が重度難聴です。軽度難聴はささやき声が聞き取りにくい程度ですが、高度難聴や重度難聴になると大きな声でも聞こえ難くなります。
伝音難聴の原因として、耳垢、中耳炎、耳小骨の一番奥が固くなる耳硬化症、耳小骨の奇形、頭部外傷による側頭骨骨折や耳小骨離断があります。感音難聴の原因として、生まれつきの先天性難聴、加齢による老人性難聴、ある日突然片方が聞こえなくなる突発性難聴、めまいと共に難聴や耳鳴りが生じるメニエール病、そして頭部外傷によって内耳のリンパ液が漏れる外リンパ漏などがあります。音による情報は生活するうえで重要な要素であり、難聴があると生活の質が格段に低下します。聞き取りやすい言葉で伝えることが大切です。
きこえを良くする!手術と補聴器(放送内容 資料はこちら)
難聴には色々な種類がありその治療も様々です。外耳、中耳が原因となる伝音難聴では手術で改善することが多く、内耳が原因となる感音難聴ではお薬の治療が主体です。発症から時間が経過した感音難聴は治りにくいことが多く、最終的には補聴器を使用したり、人工内耳という手術をしたりすることがあります。音による情報は生活の中で大切な要素であり、他の人とのコミュニケーションが障害されることによる精神的負担は非常に大きく、放置することで認知症の進行を早めることがあるほどです。
具体的な治療方法ですが、中耳炎には抗生物質のようなお薬や手術を行うこともありますし、耳小骨の一番奥が固くなる耳硬化症では内視鏡手術が主体です。耳小骨奇形や頭部外傷による耳小骨離断では、まず手術で中耳を開いて観察し、どのような状態か確かめてから治療方法を決めます。
感音難聴のうち、先天性難聴や老人性難聴の治療方法はありません。突発性難聴では、早期に治療を開始することが重要で、お薬が主体です。めまいと難聴、耳鳴りが特徴のメニエール病もお薬の治療となります。頭部外傷によって内耳のリンパ液が漏れてしまう外リンパ漏の場合は、リンパの漏れを止める緊急手術が必要になります。
補聴器は、聞こえを補う器械のことで、周りの音を大きく聞こえやすい音に加工することができます。ただ、耳の働きを良くするわけではなく、同じ周波数であれば人の声と雑音とをはっきり分ける機能もありません。自分の感覚細胞を使うので、今まで聞こえていた音として聞こえます。人工内耳の場合、内耳の感覚細胞の代わりに電極を埋め込んで音の刺激を電気信号に変換して脳へ伝えます。今まで聞こえていた音ではなく人の言葉も電子音のような音として聞こえるため、言葉として聞き取るためのリハビリが必要になります。