ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
健やかな毎日のために ~地域で考える片頭痛診療~(放送内容 資料はこちら)
皆様、こんにちは。今日は、多くの方が悩まされている『片頭痛』について、最新の知見と、私たちがどのように向き合っていくべきかについてお話しします。
さて、皆さんは、ご自分が片頭痛だと自覚していても、医療機関を受診していない方が非常に多いことをご存知でしょうか。ある調査では、片頭痛の基準を満たす人の約43%が、医師による診断を受けていないという結果が出ています。多くの方が市販薬でしのいでいらっしゃいますが、実はその陰で、日常生活や仕事に大きな支障をきたしている現状があるのです。
片頭痛による経済的な損失は、日本全体で年間3,600億円から、一説には2兆3,000億円にも上ると推計されています。これは欠勤だけでなく、頭痛を抱えながら働くことで生産性が落ちてしまう『プレゼンティーイズム』が大きな要因です。片頭痛は、ただの『頭痛持ち』と片付けられるものではなく、社会全体で考えるべき大きな課題なのです。
特に注意が必要なのが、頭痛の『慢性化』です。月に15日以上頭痛が続くようになると、脳の痛みの感受性が高まり、日常生活が困難になります。さらに、鎮痛薬を月に10日以上、長期間飲み続けることでかえって頭痛が悪化する『薬物乱用頭痛』という状態に陥ることもあります。
『いつもの頭痛だから』と我慢しすぎず、まずは身近なかかりつけ医に相談してみることが大切です。もし、月に8日以上頭痛があったり、日常生活に支障が出たりしている場合は、頭痛専門医との連携も検討すべきタイミングです。最近では、予防療法も大きく進化しています。
抗CGRP製剤という新しい注射薬は、頭痛の頻度や強さを減らすだけでなく、頭痛に伴う不安や抑うつ、生活の質の改善にも効果があることが報告されています。これまで経口の予防薬で十分な効果が得られなかった方にとっても、大きな希望となっています。
片頭痛は、適切な診断と治療によって、人生から下ろすことができる『重い荷物』です。一人で抱え込まず、専門の医師とともに、あなたに合った治療計画を立てていきましょう。輝く毎日を取り戻すために、まずは一歩、相談から始めてみませんか。
健やかな毎日のために。今日は片頭痛診療の最前線についてお伝えしました。
来週は、片頭痛の治療に関してお話いたします。
片頭痛の最新治療(放送内容 資料はこちら)
今日は、多くの人を悩ませる『片頭痛』の最新治療について、お話をいたします。
皆さんの周りに、ひどい頭痛で仕事や家事が手につかない、という方はいらっしゃいませんか?
先週もお話いたしましたが、実は片頭痛は、単なる痛みだけでなく、社会的な損失も大きい病気として、いま改めて注目されています。
では、片頭痛の治療はどういったものがあるのでしょうか?
片頭痛の治療には、大きく分けて二つの柱があります。一つは、痛みが起きた時に抑える「急性期治療」。そしてもう一つが、発作そのものを起こさないようにする「予防療法」です。
特に注目したいのが、この「予防」の分野です。最近では「抗CGRP関連抗体薬」という新しいタイプのお薬が登場し、治療の選択肢が大きく広がりました。これまでは、他の予防薬を使っても効果が不十分だった場合に検討されることが多かったのですが、海外ではすでに「第一選択薬」、つまり、まず最初に検討すべき治療法の一つとして推奨されるようになっています。
「月に何度も頭痛がある」「寝込んでしまうほどつらい」という方。まずはご自身の「支障度」をチェックしてみませんか?頭痛外来には、専門のチェックシートがあります。頭痛がある時はもちろんですが、実は『頭痛がない時』にも「また痛くなったらどうしよう」と不安に感じることも、生活の支障として数値化できます。もし、頭痛がない時でも不安を感じたり、予定を立てられなかったりする場合は、予防療法を検討するタイミングかもしれません。
また、お薬の飲みすぎにも注意が必要です。「迷ったら飲まない」という言葉もあるように、急性期のお薬を頻繁に使いすぎると、かえって頭痛が悪くなる「薬物乱用頭痛」を招く恐れがあります。
「頭痛持ちではないのに毎日痛む」「いつもの頭痛と様子が違う」といった場合は、自己判断せず、MRI検査などができる脳神経外科や頭痛専門医に相談してほしいと思います。
「たかが頭痛」と我慢せず、かかりつけの先生や頭痛専門医と一緒に、自分に合った治療を見つけていきましょう。
今日は片頭痛の最新治療についてお伝えしました。