ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
2025年9月11日放送
最近、朝気持ちよくおきられないと言う方が増えてきましたので、お話ししたいと思います。これには、4つのパターンがあります。
今日はまず、朝目が覚めない場合と目が覚めても起き上がると不快なためすぐに横になってしまう場合についてお話しします。
昼頃まで目覚めない場合、小学生〜大学生では夜遅くまで起きていないかを確認することが大切です。この場合、睡眠・覚醒相後退障害といって脳の体内時計をつかさどる部分の不調により、睡眠のリズムが狂っている可能性が高いです。
眠る前のスマートフォン操作やパソコン作業を避ける、朝は日光を浴びるなど、脳に一日の生活リズムを覚えさせるとともに、眠る前にメラトニン受容体作動薬などの睡眠を促す薬剤を少量内服することが治療の補助となることが知られています。また、高齢者の場合は昼夜逆転現象の可能性があり、認知症周辺症状のひとつと考えられますので早めに医師にご相談ください。
次に朝目覚めはよいが、起き上がることができない場合です。
若い方では、自律神経の不調により心拍数が通常よりも増えてしまい不快な感覚に襲われてしまう体位性頻脈症候群がその典型です。頭痛や腹痛、息苦しさを生じることもあります。
これは、以前から起立性調節障害といわれてきたものの一つで、新型コロナウイルスをはじめとするウイルス感染後の患者さんに多くみられます。水分、塩分摂取を積極的におこなうとともに、日中はできる限り横にならない、就寝時間、起床時間を守り、散歩など軽い運動を行うなど規則的な生活を送ることが重要で、程度によっては内服が必要になります。
同様の症状でも中年以降では、糖尿病やパーキンソン病、ビタミンB12欠乏症でよく似た症状がおこることがあり、程度によっては起き上がると血圧が下がってしまう起立性低血圧にいたることがあります。
これらは、仰向けで寝た状態で血圧、脈拍を測定し、立ち上がった瞬間から1分ごとに5ないし10分間、血圧、脈拍測定を行うことで診断が可能です。朝起き上がるのが辛いだけでなく、特に躓くわけでもないのによく転んでしまう場合にもこうした病気を考える必要があります。
2025年9月18日放送
本日は朝目覚めたものの倦怠感が強い、あるいは睡眠をとったのに疲労がとれない場合と、ある日から急に力が入りづらくなりベッドから起き上がることが困難な場合の二つのパターンについてお話したいと思います。
朝起きたときの倦怠感や疲労感がある場合は、睡眠が不十分であることがほとんどです。
午後になるにつれて倦怠感、疲労感が悪化し、寝落ちしてしまう、あるいは昼寝をすることで倦怠感、疲労感が改善する場合には、睡眠時無呼吸症候群も疑われますので、睡眠時の呼吸検査が必要です。
一方で、午後になるにつれて倦怠感、疲労感が少しずつ回復する、またはその程度が全く変わらないが悪化もしない、昼寝をしても改善がみられないケースではうつ病などの意欲障害が原因である場合が含まれます。寝付けない、夜中に何度も目が覚め、その都度寝付けない、元気な時よりも早く目が覚めてしまうなどの睡眠の異常を伴っていることが多く、医師による詳細な問診が必要になります。
次にご高齢の方で、急に力が入りづらくベッドからの起き上がりが困難になる場合ですが、リウマチ性多発筋痛症というリウマチによく似た病気の可能性があります。
実際には力は入るのですが、肩関節周囲、股関節周囲が左右対称に、また頸椎の関節周囲にも炎症をおこすために、朝のこわばりと痛みが生じて腕が上がらなくなる、立ち上がり動作が困難になる、太腿に重さを感じ歩きづらくなるのが特徴です。医師の診察で肩関節、股関節に痛みがあるかどうかを確認すること、血液検査で炎症反応と貧血を確認することが大切です。疑われれば、リウマチ専門医にご紹介させていただくことになり、特効薬により速やかに症状は改善します。
また、年齢に関係なく立ち上がりなどの動作の始めが困難な場合には、筋力が低下してしまう筋肉の病気、神経の病気が疑われますので、医師による詳細な診察が必要になります。
朝気持ちよく起きられることは、健康のバロメーターです。
気になるときにはかかりつけ医に相談してみてください。