ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
胃がんで命を落とさない(放送内容 資料はこちら)
日本人の2人に一人ががんと診断される時代です。胃がんは年間12万人以上が診断され、4万人以上が亡くなっています。
がん罹患数順位では男性3位・女性4位・総数3位、がん死亡数順位では男性3位・女性5位・総数3位である頻度の高いがんです。
一生のうちに男性では10人に一人、女性では21人に一人が胃がんと診断されます。
このように罹患数、死亡数ともに多い胃がんですが、ピロリ菌が胃がんの原因であることが分かったことはきわめて画期的なことです。つまりピロリ菌感染のない人からはほとんど胃がんは発生せず、ピロリ菌感染があっても除菌することで胃がんの発症リスクが約1/3に低下することが分かったのです。さらに除菌後に定期的な内視鏡検査を受けていれば、約9割は早期で発見できます。
このように現在では胃がんは決して怖れる病気ではありませんが、現実的には20代で亡くなられる方もいます。今の時代、胃がんで命を落としてはいけないのです。そのためには一度、内視鏡検査を受けて自分の胃にピロリ菌感染があるのかないのかを知ることがきわめて重要です。
鎮静剤を使用して楽に内視鏡検査を行う施設が増えていますが、きちんとした診断をしている意識の高い施設を選ぶことが大切です。
ピロリ菌感染があれば除菌をしますが、除菌後にも胃がんが発生することを忘れてはいけません。
少なくとも2年間隔で定期的に内視鏡検査を受けていれば、胃がんで命を落とすことはまずありません。もし胃がんと診断された場合でも、手術治療では仮に命が助かっても食事が思うようにできないなど生活の質が低下する可能性もありますから、早期に発見して内視鏡治療で完治できることが理想的です。
大腸がんで命を落とさない(放送内容 資料はこちら)
大腸がんは年間15万5千人以上が罹患し、5万人以上が亡くなっています。男女合わせたがん罹患数は第1位で、女性のがん死亡数は第1位、総数でも第2位です。一生のうちに男性では10人に一人、女性では12人に一人が大腸がんと診断されます。
大腸がんは比較的治りやすいがんにもかかわらず亡くなってしまう方が多いのは進行するまで発見されないためです。大腸がんは40歳を過ぎると増えてきます。
大腸がんの原因としては食生活の欧米化や運動不足、肥満、飲酒などが挙げられていますが、これらに注意しても完全に予防することはできません。
横浜市大腸がん検診では40歳以上の方であれば無料で便潜血検査を受けることができますが、検診受診率は5~7%と低く、陽性となった場合の内視鏡検査による精検受診率も50%前後です。まずは検診を受けることが大切で、便潜血が一回でも陽性となったら必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。
陽性となった場合にもう一度便潜血検査を行うことは大腸がん発見の機会を逃す可能性があるため絶対に避けてください。一方で大腸がんがあっても便潜血検査が陰性になることがあります。したがって大腸がんで命を落とさないためには、一度大腸内視鏡検査を受けることが極めて大切なのです。
大腸内視鏡検査を受けることで大腸がんによる死亡率が60~70%低下し、腺腫性のポリープを切除すると大腸がんの約90%を予防できるという報告もあります。ポリープ切除した場合3年間隔での検査が推奨されています。
大腸内視鏡は苦痛のある検査というイメージがありますが、優れた内視鏡検査を提供している施設も多くありますので40歳を過ぎたら是非一度内視鏡検査を受けて欲しいと思います。