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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

コロナ禍における小児のメンタルヘルス

2023年8月3日放送2023年8月10日放送

2023年8月3日放送

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2023年8月10日放送

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2023年8月3日放送

コロナ禍の影響で、子どもたちもこれまで当たり前だった生活様式が様々な形で変化を強いられました。子どもを含むすべての人が、感染の拡大に怯え、不安を煽る情報にさらされ、自粛生活を強いられました。
学校では、運動会や卒業式、修学旅行などの大切なイベントが中止や縮小され、休校やオンライン授業などの結果、学習や運動の機会だけでなく、大切な友人との交流の機会も減少しました。

家庭では、家族の時間が増えるといった良い影響もあったのですが、自宅でのゲームやインターネットの使用時間が長時間化し、生活習慣の乱れを親に叱責されるなどして、家庭内の問題が増えることもありました。

このようにしてコロナ禍の影響で子どもたちの生活リズムが変化し、社会的孤立や家庭内の問題が増えた結果、子どもたちのメンタルヘルスの問題や学習や発達などの問題が増加している可能性が国内外で指摘されています。具体的には、不安や抑うつ、不登校、起立性調節障害などの身体的な不調、ゲームやインターネットの依存、虐待などが挙げられます。

もっとも重大な問題は、自傷、希死念慮などの自殺に関連した行動の増加と、過剰なやせにつながる摂食障害の増加です。子どもの自殺関連や摂食障害の問題は生命の危機につながるため、児童精神科などの専門医療機関を早期に受診する必要があります。

しかし、子どものメンタルヘルスの専門医療機関は数が非常に少なく、受診希望が殺到して医療現場はかつてないほどに逼迫しており、初診までの待機時間が長くなるという問題が生じています。コロナ禍の影響は、感染症の流行が落ち着いてからも残ることが予想されており、これまで以上に子どもの心を社会全体で支える仕組みづくりが求められています。

2023年8月10日放送

コロナ禍において子どもの心の健康を保つために、周囲の大人ができることを解説します。

まずは、心の不調のSOSに普段から目を向けることが大切です。ストレスの影響で、食欲や気力の低下、寝坊や夜更かしなどの生活習慣の問題が出やすくなっていることがありますが、こういった生活習慣の乱れを心の不調のSOSと捉える視点を持ちましょう。

子どもは言葉で表現する力が十分には備わっておらず、子ども自身が心の不調を感じることができないこともあります。特に、思春期の子どもでは、周囲の大人に迷惑をかけないように、不安や悩みを打ち明けずに無理に平気なそぶりをすることもあるため、目立たずに良い子にしている子どもにも目を向けましょう。

続いて大切なことは、何かをアドバイスする前に子どものことを責めたり心が弱いからだと決めつけたりせず、子どもの声にじっくり耳を傾けることです。子ども自身が自分のことを責めていたり、困り果てていたりすることもあります。
子どもは心の不調を相談することに慣れていないことを理解し、ゆっくりと話を聞いて共感しましょう。

心が不調になることはストレスがかかれば誰にでもあることを説明し、適度な休養で自然に回復すること、場合によっては適切な医療で回復する可能性があることを伝えて、安心させてあげましょう。

最後になりますが、保護者も自分自身を大切にすることを意識しましょう。日常生活のストレスから子どもを強く叱責したり手を上げてしまったりして、後悔したことがどんな親にもあるかもしれません。保護者自身が孤独に自分を責め続けるより、信頼できる人とつらさを分かち合うこと、必要に応じて躊躇なく相談機関に相談することをお勧めします。

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