ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
2023年7月20日放送(放送内容 資料はこちら)
症状
蕁麻疹とは膨疹、すなわちあかみとふくらみが一過性、限局性に出現し、多くはかゆみを伴います。病院に来たときは消えてしまっていても、個々の皮疹が24時間以内にいったん消えてはまた出る、を繰り返すことが確認できればほぼ蕁麻疹と診断ができます。通常の蕁麻疹と合併あるいは単独に、皮膚および粘膜の深部を中心にでる限局性浮腫は特に血管性浮腫とよびます。
蕁麻疹の症状は、多くの場合皮膚に限局しますが、気道閉塞感、腹痛、発熱等の症状を伴うときはアナフィラキシー、またはほかの疾患の鑑別が必要です。
診断
蕁麻疹は大きく二つの病型に分けられます。一つ目は特定の刺激がなくても自発的に膨疹が出没するタイプで、特発性の蕁麻疹とよび、蕁麻疹全体の7割以上がこれに相当します。特発性の蕁麻疹は、疲労やストレス、感染症により悪化することがあります。発症してからすでに6週間以上経過している場合には慢性蕁麻疹と診断されます。
それに対して何らかの明らかな刺激により膨疹が誘発されるタイプを刺激誘発型の蕁麻疹とよびます。食物や薬など何らかのアレルギーによって出現する蕁麻疹は刺激誘発型のひとつ、と位置付けられており、刺激誘発型の蕁麻疹のなかには非アレルギー性の機序で生じる蕁麻疹も含まれます。
すなわち蕁麻疹は何かしらのアレルギー、と思われがちですが、実際はアレルギー性の蕁麻疹と診断できる患者さんはだいたい20人にひとりくらいです。そのため、やみくもにスクリーニング的なアレルギー検査を行っても蕁麻疹の原因の解明にはなかなかつながりません。
蕁麻疹の患者さんが受診された場合にはまずはくわしい問診により正しい病型診断をおこない、必要に応じて原因、悪化因子を探索することが重要です。
2023年7月27日放送(放送内容 資料はこちら)
刺激誘発性の蕁麻疹とは特定の刺激、ないしは条件が加わったときに症状が誘発されるものです。
アレルギー性の蕁麻疹は食物、薬のほか、例えば魚の寄生虫であるアニサキスにより誘発されることもあります。一定の果物や野菜類摂取後すぐに浮腫、違和感、かゆみを口唇や口腔内のみに生じる場合は口腔内アレルギー症候群とよばれ、わが国ではハンノキ花粉症をもつ患者さんに多くみられます。
また、小麦などの特定の食物を摂取したあとに運動することで発症する食物依存性運動誘発性のアナフィラキシーといわれる疾患は、10代の若い人に多く発症します。
刺激誘発性であってもアレルギーではない蕁麻疹としては、青魚やタケノコなどのヒスタミン類似物質を含む食物を摂取したあとに誘発される蕁麻疹、アスピリンをはじめとする解熱鎮痛剤の内服後に生じる蕁麻疹のほか、下着のゴムでしめつけたりかばんをもつなどの機械的刺激、寒冷、日光などによる物理性蕁麻疹や、運動や発汗後に生じるコリン性蕁麻疹などが含まれます。
治療
刺激誘発性蕁麻疹は原因となる刺激を避けることが最も大切ですが、特に特定の刺激がなくても自発的に膨疹が出現する特発性蕁麻疹ではまず、抗ヒスタミン薬などの内服により症状が現れないことを第一目標とします。
抗ヒスタミン薬の効果は個人差があり、一種類の抗ヒスタミン薬で効果がみられない場合は他の抗ヒスタミン薬に変更、あるいは2倍増量することもあります。抗ヒスタミン薬の使い方を工夫しても十分な効果が得られない場合、さらにほかの治療を追加することもあります。また、特発性蕁麻疹症状消失後もすぐにお薬は中止せず、しばらく内服を継続することが望ましいです。