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高血圧症について

2023年6月8日放送2023年6月15日放送

2023年6月8日放送

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2023年6月15日放送

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2023年6月8日放送(放送内容 資料はこちら

現在日本には4300万人の高血圧患者さんがいると推察されています。日本の人口がおよそ1億2500万人ですので、3人に一人が高血圧症と考えられます。ただしその中で医療機関で充分な治療を受けている方は1200万人と報告されていますが、放置されている方が1850万人と言われています。またかなり多くの方(約1250万人)が無治療あるいは治療不十分と考えられます。

では放置あるいは不十分な治療だとどうなるのでしょうか?これについても過去多くの研究が報告されています。
動脈硬化と言う言葉も広く知られていると思いますが、血圧が高ければ高いほど動脈硬化が起こりやすくなります。逆に高い血圧を治療すると、動脈硬化を起こしにくくなると報告されています。

つまり高血圧を放っておくと動脈硬化が起こり、それによる合併症、たとえば心筋梗塞や脳出血、脳梗塞などを起こす危険があるということです。そのために治療、主に薬物治療が必要であると言えます。治療を受けるには受診し、検査を受け、薬を飲んだり、生活習慣を改善するなどすることになるわけですが、当然費用がかかります。

ここで難しいのは放っておくとどうなるのか、です。もちろん全員が心筋梗塞や脳梗塞を起こすわけではありません。それでも全体として考えると、心筋梗塞などの大病にかかる医療費が高額になる上、後遺症をきたします。場合によっては死に至ることもあるでしょう。したがって地道に毎日治療を行うのが医療経済的にも肉体的にもお得と考えて良いでしょう。

2023年6月15日放送(放送内容 資料はこちら

高血圧症は原因のない(よくわからない)本態性高血圧症と、原因のある二次性高血圧症に分けられます。
原因があるため二次性と言われる訳ですから、その原因を除けば多くの場合血圧が下がります。したがって、高血圧治療の第一歩は原因のあるなしを見極めることから始まります。

診断にはいろいろなホルモンや一般的な採血、採尿などでスクリーニングを行います。疑わしいことがあればさらにCTや超音波検査、アイソトープ検査などを行います。

二次性高血圧の原因の第一位は原発性アルドステロン症、第二位は腎実質性高血圧症です。第三位が腎血管性高血圧症で、この三つで二次性高血圧症の約10~15%を占めます。

原発性アルドステロン症は腎臓のすぐ上にある副腎というホルモンをつくっている臓器に腺腫(良性腫瘍)ができ、アルドステロンというホルモンを作るために血圧が上がる病気です。腎実質性高血圧症は慢性腎臓病や多発性嚢胞腎と呼ばれるような腎臓そのものに原因がある場合です。腎血管性高血圧症は腎臓に向かう腎動脈のどこかに細い部位ができ、そのために腎臓がレニンというホルモンを作り、血圧が上がる病気です。

見つかった原因を取り除くために手術が行われる場合もあります。ただ実際には年齢が上がるほど本態性の比率が上がりますので、一般的にはまず薬物治療が開始されることが多いようです。

もちろん治療の開始には一定の基準があり、重症度(血圧の高さなど)により開始されます。たとえばIII度の高血圧ならすぐ薬物を開始します。高い血圧は心臓や血管にとって危険だからです。
I度やII度であれば生活習慣の見直しで経過を観察することもあります。なかなか降圧目標に達しない時に二次性高血圧症を疑い、精査をされることもよくあります。
何れにせよ血圧を下げるのが大事なので、疑問に思うことがあるなら医師にご相談ください。

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